顔面神経麻痺(facial nerve paralysis)と鍼灸治療

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目次

1.顔面神経麻痺の症状とタイプ

2.顔面神経麻痺の原因

3.顔面神経麻痺の治療・治し方

顔面神経麻痺の症状とタイプ

顔面神経麻痺には種類がありますが、その中で最も多いと言われているベル麻痺(bell palsy)というものについて説明します。これは鍼灸臨床上よく出会うタイプのものなのですが、原因は不明とされています。そして全体の約7割ほどがこのタイプの顔面神経麻痺だと言われているのです。

そもそも顔面神経とはなんでしょうか?その機能や働きについて見ていこうと思います。

脳からは12種類の末梢神経が目、鼻、耳、舌、喉、顔面などに分布していますが、その中の一つに顔面神経があります。そして顔面神経は4つの機能があります。下記にその機能と麻痺による症状をまとめました。

・機能(1)表情を作る(表情筋)

症状→額のしわ寄せ不能、閉眼できない(兎目)、鼻唇溝消失、頬を膨らませられない

・機能(2)味覚、唾液分泌(鼓索神経)

 症状→味覚の麻痺(舌の前方2/3あたりの味覚)、唾液分泌減少(ドライマウス)

・機能(3)聴覚(アブミ骨神経)

 症状→聴覚過敏、耳鳴り

 ※アブミ骨神経は音を小さくする作用があるため、この神経が麻痺すると音が大きく聞こえてしますのです。

・機能(4)涙腺分泌(大錐体神経)

 症状→涙液分泌の減少

かっこ内の神経名は顔面神経から枝分かれする細かい神経の名前です。各々の神経が何らかの理由で障害を受けることでその働きに障害が出てきます。表情筋の麻痺は必ず起きるのですが、その他の症状については出る人と出ない人がいます。

発症したときの表情は非常に特徴的なもので片側の顔面部が弛緩しきってしまった状態でだらりと垂れ下がってしまいます。とくに女性は非常に大きな精神的ショックを受けて外出できなくなってしまう方もおられます。原因もわからない、ということになると本当に得体のしれない怖さを感じると思います。

回復は非常に個人差が大きく、7割ぐらいの患者さんは半年以内に自然治癒すると言われていますが、2割ほどの患者さんは後遺症を残すこともあります。ただ早く鍼灸治療を始めることで回復が早まったり後遺症を残す可能性を下げる効果があります。

ただ鍼灸治療を受けるまでにたいがいの患者さんは色々な病院をまわっていて時間が経過してしまっていることが多いのが現状です。もちろん時間が経ってからでも治療は可能ですし、改善する見込みはあるのですが発症から早く来ていただいた方がその後の経過も良くなります。

顔面神経麻痺の原因

原因についてまだはっきりしたことはわかっていないものの2つの仮説があります。

・顔面神経は頭蓋骨の中から頭蓋骨に空いた孔をたどって出てくるのですが、神経を栄養する血管の血行不良により途中で神経が浮腫を起こす事で障害が起きるという説。これが一番有力なのではないかと言われています。ちなみに浮腫を起こす好発部位は顔面神経が頭蓋骨の中から外へと出てくる穴である茎乳突孔という孔付近で、ちょうど耳たぶの裏あたりになります。

・幼少期に単純ヘルペスウィルスなどに感染した場合、そのウィルスは神経節などに潜伏しています。そして疲労やストレスなどで免疫力が低下したときにウィルスが再び活性化されて神経に感染して障害が起きるという説。

ちなみに西洋医学的には原因はわからないのですが、東洋医学的にはこれを経穴(ツボ)や経絡(経穴をつないだライン)を通るエネルギー(気)が乱れたことによって起こると考えています。具体的には、手から顔に至るライン(陽明大腸経)、顔から足にいたるライン(陽明胃経)、側頭部から足に至るライン(少陽胆経)などのエネルギーの不調和です。

顔面神経麻痺の治療・治し方

顔面神経麻痺を改善させる手段として鍼灸は古来より頻繁に用いられてきました。中国の医学古典(『鍼灸大成』1601年)には顔面神経麻痺を思わせる患者の症例と治療方法が記されています。ただ今現在この疾患に鍼灸が効くことを知る者は少なくなってしまったように思います。ちなみに病院では副腎皮質ステロイドの点滴や星状神経節ブロックなどが行われます。

さて私はこの症状の患者さんを治療する場合には2つの点に注意します。まず額のしわ寄せができるかどうか?もし「額のしわ寄せ可能な麻痺」であった場合、それは顔面神経の問題ではなく中枢(脳)でなんらかの病変があることを示唆するものです。また顔の片方ではなく両方に麻痺が起きている場合にはギランバレー症候群という疾患にかかっている可能性もあるためまず病院の神経内科などを受診することをおすすめします。

私は顔面神経麻痺の治療を2つの角度から実施します。1つ目は現代科学的なアプローチであり、2つ目は東洋医学的なアプローチです。

(1)現代科学的な鍼灸治療

これは麻痺の原因がなんであれ神経が機能していないのだから、それを顔面神経の末端が付着する顔面表情筋へと鍼を行い、刺激することで顔面神経を活性化させることを目的とします。興味深いことにこの時に鍼を刺すべき場所というのが東洋医学の経穴(ツボ)の部位と一致ています。

・顔面神経の出口付近である耳の裏あたり→翳風

・顔面部に出てきた顔面神経が枝分かれする部分→上関、下関

・前頭筋部→陽白

・皺眉筋部→攅竹

・眼輪筋部→承泣、四白、太陽

・口輪筋部→地倉

これらのツボ(経穴)に刺して置鍼(刺したままにする)します。通常は5分から15分程度です。場合によっては微弱な医療用の電気を長す場合もあります。

また顔面神経を栄養する血管の血行不良が原因で神経浮腫が起きている可能性があることから、神経付近の血行を妨げる可能性のある頭部と頸部(くび)の筋肉の緊張を緩和させる目的で緊張している筋肉に鍼を刺します。これらの筋肉は表面にはないことが多いためマッサージや整体での治療は難しいです。

(2)東洋医学的な鍼灸治療

原因の項目で述べたとおり東洋医学的な体の見方では、この症状は顔から手足へ走るエネルギー(気)の通り道(経絡)でエネルギーが不足したり滞ることによって生じると考えています。なので手足のツボに鍼や灸を施すことで気の乱れを調整し、麻痺を改善していきます。参考までにその対象になるツボは足三里(陽明胃経)、合谷(陽明大腸経)、曲池(陽明大腸経)などになります。ちなみにこれらのツボは経絡上にあるわけですが、その経絡はすべて顔へとつながっているのです。「顔の症状なのになぜ手や足なのか?」と疑問を持たれる方も多いかもしれませんが、それは経絡によるつながっているからなのです。

このように東洋医学的な見方は、現代的な鍼灸治療のように筋肉や神経など目に見えるものを目印に刺しているわけではありません。まだ現代科学では、顔と遠く離れたところに鍼を刺すことでなぜ顔面麻痺が改善するのかもよくわかっていません。しかしいつの日か科学でこれらの秘密が解明されることが来るのではないかと私は思っています。人間の体はわかっていないことの方が圧倒的に多いのです。

私は痛みや麻痺などに効果があるものは医学的エビデンスがなくても柔軟に採用しているので、治療にあたっては東西医学、両方のアプローチをとります。

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【免責事項】

こちらに掲載された事例、体験談は患者様個人の治療成果や感想であって、万人への治療効果を保証するものでないことをご理解ください。治療による効果には個人差があります。