不妊の鍼灸治療

目次

不妊の目安

不妊の原因

不妊の西洋医学的治療

不妊の鍼灸治療(動画あり)

不妊鍼灸で重視するポイント

なぜ不妊に鍼灸が有効なのか?

不妊のツボ

不妊鍼灸の新聞報道

不妊は整体で治るのか?

不妊のサプリメント

その他

不妊の目安

不妊症は性生活を初めてかからどのぐらい妊娠しないことを言うのか?これまでは2年とされていたのですが、1年で9割が妊娠することを考えると目安は1年妊娠しない場合とするのが適当だと考えています。

不妊の原因

まず不妊の原因の1/2が女性、1/4が男性、1/4が不明です。

1)女性不妊症

最多は子宮内膜症、卵巣機能不全、卵管通過障害、黄体機能不全、高いプロラクチン血症、不育症

2)男性不妊症

大部分は増精機能障害(無精子症)、精子通過障害(精路閉鎖)やインポテンス。

不妊の西洋医学的治療

当院で西洋学的な治療をすることはありませんが、一般的に以下に紹介する1)から4)の順番ですすんでいきます。これらの治療をしながら鍼灸治療などを並行していくことも可能です。

※排卵誘発剤:無排卵症では高温期はないが月経がくることもある。これを無排卵月経とよぶ。排卵誘発剤(ゴナドトロピンなど)による排卵誘発剤を行うこともある。

1)タイミング法

おりものの状態、卵胞の大きさ、血中値などから排卵日を正確に把握して、その日に夫婦生活を営んでもらう方法です。

クリニックを利用しない場合はドゥーテストなどの排卵日予測検査薬などを使って排卵日を特定するご夫婦もおられるようです。

2)人工受精

排卵日に夫婦生活を行っても妊娠しない場合や、不妊の原因が精子にある場合には人工授精となります。

医療者の手を介して子宮内腔にチューブを使って精液を注入するもの。成功率は2割程度と言われている。これで妊娠できなければ体外受精を検討する。

3)体外受精

身体の外で精子と卵子を受精させて受精卵を子宮にもどす方法です。

麻酔下で卵胞に鍼を刺して吸引する。それを培養した後、精子を加えて受精させる。平均成功率は4割程度との報告もある。卵管通過障害では本治療を行う。

4)顕微受精

体外受精の一種だが、ガラス管などを使って精子を卵子に注入させる。

3)の体外受精は精子の力で自然に受精させ、顕微受精は人によって受精させている点が異なる。

不妊の鍼灸治療(東洋医学的治療)

妊娠する上で大切なことは自律神経のバランスが正常で心身ともに落ち着いていること、またそれによって子宮内膜の血流量が豊富であることが非常に重要な要素です。婦人科系の疾患をお持ちでない患者さんには、このことを目的に治療をします。

不妊症の患者さんを診ていると、その多くは腹部や腰、足全体などの冷えの症状も抱えている方が多いと感じます。

よって鍼灸治療によって全身の自律神経の状態を適切にし、血流を改善させ、結果として骨盤内の血流を本来の状態にすることで妊娠しやすい身体にするのです。

ですのでお腹や腰、足などを暖めたりするだけでは冷えに対する根本的な問題解決になっていないのです。あくまでも目的は患者さんの身体が自律的に(自動的に)身体の内部を暖めることができるようになることなのです。

そういう意味で重要な治療箇所は仙骨分、腰部、背中、腹部、手足末端のツボです。これによって血流を司る自律神経に働きかけます。

不妊症のツボというと三陰交などが一般の方にも知られておりますが、あくまでそれは不妊症の患者さんに共通して使うツボに過ぎません。

また冷えはなさそうに見えても東洋医学で言うところの瘀血(血が滞留している)のような状態の患者さん(イライラ、発汗、焦り、不安なども伴うことが多い)もおられます。このようなタイプの不妊症の患者さんにはまた別の治療が必要になります。

また当院ではご自宅でお灸をすることをおすすめしております。当院でしっかりとお身体を診た上で患者さん個人個人に対して特有のツボを決めてお伝えします。また排卵前後でツボを変えていただくことも多いです。例えば三陰交を使うのは排卵前までで排卵後は腎経の復溜を使ったりします。ツボの位置としては非常に微妙な違いなのですが、成果に大きく影響することもあります。

もちろん自宅で使っていただくお灸は市販のものではなく当院が自信を持っておすすすめできるものです。

不妊症の鍼灸治療は時間がかかることも多いですが、人によっては数ヶ月の治療で妊娠する方も多く見てきました。

以下に不妊のお灸動画の一部をアップいたしましたのでご覧ください。

鍼灸治療で重視するポイント

1)長めだった生理周期が、28日に近づく

2)高温期と低温期がはっきりとしてきて高温期が長くなる

3)体表所見の改善

・骨盤の歪みがなくなる。(骨盤の左右の高さが水平になる)

・下腹、腰、足の冷えが改善される。下腹部のぺこぺこした感じがなくなってくる(小腹不仁の改善)

・臍の下あたりの硬さがなくなってくる。(小腹急結、小腹硬満の改善)

なぜ不妊に鍼灸治療が有効なのか?

まず現代の不妊症で圧倒的に多いのが機能性不妊症というものです。つまり原因疾患がわからないものです。

その場合は理由はわからないが卵巣や子宮の機能が低下してしまっているということです。

当然ながら鍼灸治療では、それらの機能を正常に戻すことを目指すわけです。

少し難しいお話になるのですが、妊娠に関係する臓器は子宮や卵巣になりますが、それらの臓器の機能や知覚と関係する神経には骨盤神経(副交感神経)と陰部神経(知覚・運動)というものがあります。

東洋医学のツボというのはそれらの神経に体表から刺激を与える場所になっているのです。

例えば骨盤神経は仙骨部のツボ(中髎)経由で刺激を与えることができ、また陰部神経はお腹のツボ(中極や大赫)経由で刺激を与えることができます。

針や灸による神経に微細な刺激を与えることによって子宮や卵巣の状態を正常に戻して妊娠しやすくしているのです

またもちろん生殖系の臓器だけでなく心身のストレスを軽減するために全身的な鍼灸治療を施すことで体全体の状態をよくしています。

また下記のような有効性に関する報告もあります。

『針刺激はホルモン分泌に何らかの影響を与え、不妊症に治療効果を発揮できる。その作用とは中枢に作用してゴナドトロピン分泌を正常化することや、末梢性に作用して卵巣のゴナドトロピンに対する感受性を高めることが考慮される。排卵誘発剤により排卵を誘発しても妊娠に結びつかない場合があり、こうした例に針治療を行う価値はある。』

(山辺徹他「不妊症に対する電気経絡針の応用」産婦人科の世界)

不妊鍼灸の新聞報道

・ドイツと中国の共同研究で鍼灸治療によって妊娠率が上がることが明らかに。

以下新聞記事の書き起こし

「鍼治療で妊娠率がアップ」

体外受精の前後に、女性の体をリラックスさせるハリ治療をすると、妊娠率が大幅に向上するという研究結果を、ドイツと中国の研究チームがまとめた。

 米生殖医療学会誌に掲載された報告によると、同チームは、体外受精をうける女性百六十人を二つグルップに分け、一方に体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後にハリ治療を実施。ハリ治療のグルップには、ハリ治療をせず通常の体外受精を行った。その結果、ハリ治療グルップの妊娠率が42.5%に上がり、通常治療の26.3%を大幅に上回った。体外受精のの妊娠率は、高くても三割程度とされた。繰返し治療を受けるカップルの精神的、金銭的な負担が問題になっている。妊娠率が向上する詳しい理由は分からないが、同学会のサンドラ・カーソン次期会長は「確実に検証されれば、妊娠率向上に役立つ手法になる可能性があると注目している。

2002430日 夕刊讀賣新聞の記事」(ワシントン 館林 牧子)

・子宮内膜が顕著に改善(竹内病院トヨタ不妊センターの臨床データ)

ホルモン療法をしても子宮内膜が厚くならない患者さんに対して鍼灸治療を併用したところ、約6割に子宮内膜の改善がみられた。 また改善された患者さんのうち約5割が妊娠に至りました。  この効果は新聞でも取り上げられました。
(20011228日、中日新聞)

不妊は整体で治るのか?

これまで医療関係者や代替医療に関わる方々から話を伺ってきましたが、整体やカイロによって不妊症が解消されたという話はあまり聞いたことがありません。これに関して今後も情報収集をしていきますので、有効な方法があれば当院でも鍼灸だけにこだわらずに実践していくつもりです。

不妊のサプリメント

当院では不妊症のご夫婦のための栄養療法(食事療法)のアドバイスも同時に行なっております。医食同源と昔から言うように、健康で妊娠しやすい状態になるには食や栄養という観点は欠かすことができません。中医学と最新の現代栄養学の双方の観点からアドバイスいたします。

また通常の食物はもちろんのこと、サプリメントについてもアドバイスいたします。

サプリメントは日本では軽く見られることもありますが、正直なところ正しく摂ることができれば漢方以上の効果を発揮することも全く珍しくはありません。

例えばビタミンEは不妊に良いという情報は知っていても、どこのメーカーのものがいいのか? 天然か合成か? 単体でいいのかミックストコフェロールがいいのか? どのタイミングでどの容量を摂ればいいのか? 何と一緒に摂取してはいけないのか? などは判断が難しいと思います。

またサプリメントは人によって摂るべき種類、摂る容量が変わってくることもありますので、患者さんの状態を見て判断します。そもそも摂る必要のない人もいます。

不妊のツボ

これは主に鍼灸師向けの情報で、鍼治療のツボです。

不妊鍼灸に用いるツボについて、中医学的な弁証論治をする場合、(患者さん個別の体質改善のツボ以外に)下記の施術することも多いです。

・主穴:子宮(経穴)、中極

・配穴:※患者さんの弁証タイプによって以下の通り。

腎虚型:腎兪、命門、関元、気海、然谷、三陰交、血海、照海

肝鬱型:三陰交、照海、血海、太衝、

痰湿型:脾兪、胞門、曲骨、商丘、豊隆、関元、足三里、中脘

腎虚型は補法、肝鬱型・痰湿型には瀉法をする。できれば週1回は施術し、4ヶ月程度を1クール。

その他

・当院の鍼灸治療で妊娠される方には様々なタイプの方がおられます。近頃増えているケースとして不妊治療クリニックなどで治療を続けても妊娠せず、クリニックではネガティブなことを言われるばかりで気分がどんどん滅入り、コストの問題などからもクリニックに行くのをあきらめた方々です。その後、当院の鍼灸に絞りました。当院の鍼灸で心身全体のバランスを整えて焦らずに構えて、自然妊娠する例が増えてきているのです。不妊治療クリニックの治療で行き詰まっている方は一度ご相談ください。

・患者さんからたまにいただく質問で「治療箇所はどこになりますか?」というものがあります。治療箇所は首、背中、仙骨部(腰の下方)、お腹(臍近辺)足首、手足、こめかみ、などです。

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