患者

年齢・性別:60代半ば、女性

住まい:鎌倉市大船

職業:専業主婦

主訴・症状

(1)顎の関節が痛い、開きにくい、音がする

(2)首、肩、背中上部(両肩甲骨の間)のコリと痛み

発症の経過・原因

患者はもともストレスによって背中や肩、首の筋肉が緊張しやすい体質で、肩や頸(首)の痛みで当院の訪問治療を受診していました。そんなあるとき患者は交通事故に会いました。横断歩道を青信号で渡ったにも関わらず横から車でぶつけられて数メートル飛ばされました。顎の痛みや障害が出てきたのはそのときからでした。普段かかえている肩や背中の緊張や痛みが顎にも出てきてしまったのです。その理由は二つ考えられます。一つは交通事故にあったことによって骨折や打撲を負いました。そのため身体が興奮状態(交感神経優位の状態)となり顎の筋肉までもが緊張して痛みを発したのだと思います。二つ目は事故にあったときに上部頸椎がズレて微細に神経に障害を与えたと思われます。顎の筋肉を支配しているのは上部頸椎(C1〜3)から出てくる神経に由来するものなのです。なのでもし首に損傷を受けたりすると顎の筋肉の緊張や痛みとして症状が出てくることは頻繁にあります。実際に事故後の頸椎は過去にないほど硬く緊張していて首の動きにもかなり制限がかかっていたのです。

まとめると、患者はもともと精神的な影響から肩こりや背中の痛みなどを緊張させやすい体質です。ただ普段は顎まで症状が出ることはありませんでした。しかし事故をきっかけに身体が興奮状態となったこと、そして上部の頸椎になんらかの問題が発生したことで顎の筋肉にも緊張と痛みが発生したと思われます。また顎の筋肉の緊張したことで顎を開いたりすることにも障害が出たのです。

参考までに人間の筋肉はなぜ病的に緊張するのか?という話を簡単にしたいと思います。

これは体質もあるのですがこれは自律神経(交感神経)と運動神経の働きが関係しています。(関連記事:自律神経とは?)人間は自分の心身が危険にさらされたときに交感神経を優位させて戦いや逃走に適した状態へと準備します。つまり筋肉は緊張気味にしてすぐに動ける状態へ。また血管は通常よ収縮させてすばやく血液を身体に行き渡らせる状態へ。通常人間の危険というのは長時間続くものではないので、危機を脱すると身体は元通りに戻ります。しかし、現代のように職場や家庭では「逃れられない心身の危機(ストレス)」というものがあると思います。そういう生理的限界を超えたストレスが長く続くと身体は病的に身体を緊張させたまま戻らなくなってしまうのです。そのレベルまで筋肉が緊張すると細胞も虚血状態に陥って壊れてしまいます。そして壊れた細胞から痛みを発生させる化学物質が放出されて脳が痛みとして知覚するのです。ちなみに緊張状態(交感神経優位の状態)によって緊張しやすい筋肉というのは首・肩・背中・顎などの大昔には闘争や逃走にとって重要な意味をもっていた筋肉なのです。それが今でも精神的な緊張をしたときの名残として残っています。

 

治療・治し方

顎関節症ときたら鍼灸の出番です。もちろん頸部の矯正も必要になるので、そのあたりの解剖・生理の詳しい知識のある鍼灸師であることが望ましいと思います。

 

さて患者はもともと頸(首)・肩・背部などを緊張しやすい特徴がありました。そういう体質と交通事故による上部頸椎のズレや頸椎周囲の筋緊張によって顎関節周囲の筋肉を緊張させてしまったことで痛みや開口障害が出ていました。

まず上部頸椎のズレを治すために極めてソフトな矯正的なマッサージを施します。ズレている場合頸椎の左右への動きに不自然さが残るので触ってすぐわかるのです。頸椎の矯正に加えて頸部の緊張部位への刺鍼を行います。

次に問題の局所である顎関節を動かしている筋肉(咬筋、側頭筋、外側翼突筋など)の筋付着部へ刺鍼とリラクゼーションマッサージをします。これでほとんどのケースで顎関節症は治す事ができます。カギになるのは頸部の矯正です。

 

この患者さんは初診からかなり効いたようで顎の痛みが9割型なくなってスッキリしたとおっしゃっていました。実際に顎を対象とした鍼灸治療は三回程度で終わりました。現在は頸(首)・肩・背中の緊張と痛みが出て来たときに治療を受けてもらっています。

 

現在初回限定の価格を設定しています。この機会に国家資格者による質の高い鍼灸・マッサージ・リラクゼーションをご体験ください。

 

【免責事項】

こちらに掲載された事例、体験談は患者様個人の治療成果や感想であって、万人への治療効果を保証するものでないことをご理解ください。治療による効果には個人差があります。