線維筋痛症(FMS,FM)の患者さん(鎌倉市・40代前半・女性)

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線維筋痛症は専門の鍼灸治療をすれば改善します。

患者

年齢・性別:40代前半、女性

住まい:鎌倉市

お仕事:販売

主訴・症状

(1)背部を中心とした全身的な筋肉や関節の強ばりと痛み。※その後手足の指など末端へ。

(2)下痢傾向 

   ※7割下痢、3割便秘、普通の便が出ることはほとんどない。

(3)倦怠感、易疲労感(疲れやすい)、やる気が起きない、いつも焦燥感(ソワソワ、焦り)や不安感を抱えていてどうしていいかわからない気持ち。

(4)早期覚醒・不眠(夜なかなか寝付けないのに、朝は4時などに起きてしまう。ほとんど寝た気がしない)

(5)その他:しばしば出てくる症状として頭痛、耳鳴り、動悸、寝汗、眼の痛み、手足の冷え

発症の経過・原因

もともと店長を勤めていて、高い成果も出され会社からの信頼も厚かったようです。しかしリーマンショックあたりから会社の業績が落ち込むと同時、なかなか思うような成果が出せなくなってしまったようです。そうなるとお店の雰囲気にも影響し、様々な人間的な問題が起きたようです。彼女自身も成果が出せないこと自体に強い責任を感じて抑うつ状態になり、毎日会社に行くのが苦痛になってしまいました。そして会社からもたびたびプレッシャーをかけられるようになったのです。部下も何人も去っていき孤独感も感じるようになってきました。

当初は頸部(くび)や上背部の痛みだったようです。本人はただの肩こりだと思って気にしていなかったようなのですが、徐々に全身の筋肉や関節に波及していくようになりました。そして痛みの度合いも重だるいものから、かなり激しい痛みに変化していきました。これが骨格筋の症状です。そして筋肉や関節の強ばりや痛みが出てくるのと同じ時期から、精神、内科、その他全身症状が噴出してくるようになりました。たくさんの症状を抱えたことでどこの病院を受診していいのかわからず、手当たり次第に整形外科や整体などを回ったようですが、全く改善しませんでした。そのような状況の中で紹介で当院を受診していただくことになりました。

この患者さん、当初は筋・筋膜疼痛症候群(MPS、簡単に言えば筋肉の痛み)だったものがワインドアップ現象(中枢感作症候群→関連記事)によって痛みが増強していく経過があったと思われます。痛みの程度や生活の状態から線維筋痛症のステージとしては2だと思われます。

診察

視診(望診):

肌はざらついたように見え、手や顔の血色は若干まだらになっているようでした。健康だったときはそんなことはなかったようです。舌はぼってりと分厚く肥厚し、舌の両脇に歯の跡がはっきりと残るほどでした。

問診:

様々な話をする中で、彼女はいろいろなことに対して高い向上心を持っておられるのがわかりました。つまり仕事上の成果も出したい、そして部下にも良い上司だと思われたい、そしてクライアントからも販売のアドバイザーとして信頼されたい。そのような多方面にわたって高いレベルを求めて努力をされていましたが、景気の問題もありうまくいかなくなってしまいました。そこで彼女はもちろん景気のせいにはせず自分で抱え込んでしまうんですね。そして本当は辛い、逃げたいという気持ちをどんどん心の奥に押し込んでいってしまいます。言うまでも無い事かもしれませんが感情を抑圧することは様々症状の原因となります。

以下のような症状が特徴的でした。

・全身の筋肉が痛い。当初は体幹だけだったものが手足にまで広がっていった。

・頑張りたいのに頑張れない、とにかく疲れやすい(易疲労感)

・このままではダメだと思って休日にリフレッシュしようとしてもぜんぜん効果がない

・仕事での意志ややる気が以前のように持続しない

・時折耳鳴りや頭痛がする。

・朝起きると普通以上の寝汗をかいている

触診:

線維筋通症の診断基準に定められた18の圧痛部位のほぼ全てに痛みを感じていました。そして既に2年以上が経過していました。また体の首から足までの背面側に非常に強い強ばりや、筋肉の中にコリコリとした球状の硬い部分(硬結)をいくつも触れることができました。お腹や手足は非常に冷たくご本人も常に冷たいと感じているようです。またお腹は硬く張っていました。

治療と予防

治療は古典的な鍼と灸の治療方法と現代の西洋医学的な根拠に基づいた整体、マッサージを組み合わせて施術していきました。内容は毎回変えました。治療する日の身体の調子にアップダウンがあるため、刺激量や手技療法の種類を変えてその日の患者さんに最もあったオーダーメイドな治療を提供するためです。

初回の治療を終えた直後は背中や首の強い緊張が緩和して重いコートを脱いだようだとおっしゃっていました。そして次の日にメールをいただき、ここ数年なかったほど眠れ、すがすがしい朝を迎えられたことを大変喜んでおられました。

患者さんにはスケジュール的に無理のない範囲で週に2回の治療をおすすめして3ヶ月目からは週に1回程度の治療へと移行していきました。

※治療の頻度は患者さんの状態によって異なります。治療当初は週に2回、というのはもっとも頻度が多いケースです。ただ治療当初は最低でも2週間に1回ほどは治療が必要になることが多いと思います。

2診目からも徐々に全身的な痛みや疲労感が回復していき、10診目あたりから精神的な症状や頭痛、耳鳴り、下痢、手足の冷えなどが一斉になくなっていきました。また疲労感や不眠もほぼ改善し仕事のペースも取り戻していくことができたようです。ただ、未だに肩背部の強ばりや痛みが起きることがあるので月に1回程度の治療を継続しています。

治療期間中、改善してきてから負担のない運動療法と食事療法をお願いしました。この疾患が完治した理由の一つとしてご本人がこの疾患を克服したいという強い思いを持っていただけたことと、セルフケアを実践していただいたことだと思っています。現在は予防的な運動療法をお願いしています。それは非常に簡単なもので1回に20分程度のジョギングを週に2回程度です。今はかつての元気を取り戻してて良い転職をされ新しい職場で活躍されているようです。

現在初回限定の価格を設定しています。この機会に国家資格者による本物の高い鍼灸をご体験ください。

【免責事項】

こちらに掲載された事例、体験談は患者様個人の治療成果や感想であって、万人への治療効果を保証するものでないことをご理解ください。治療による効果には個人差があります。