自律神経失調症(dysautonomia)の患者さん(藤沢市・30代半ば)

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自律神経失調症には鍼灸(針)です。針治療は整体などに比べて自律神経の乱れにアプローチするには最適だと考えています。

患者

年齢・性別:30代半ば、女性

住まい:藤沢市

職業:デスクワーク

主訴・症状

下記の症状の複数を常に抱えている状況でした。

これはまぎれもなく一人の患者さんが抱えていた症状です。

・常に倦怠感がある

・首、肩、背中が鎧を着たように硬く重く感じる。

・便秘傾向だが下痢をすることもあり、普通の硬さであることは少ない

・腹部膨満感、ガスがたまりやすくおならの回数が多い

・高い音の耳鳴り、時に耳の閉塞感、めまいがある

・手や足に汗をかきやすく、臭いも強め(ご本人自覚あり)

・のどのイガイガ感や閉塞感

・不安、恐怖心、イライラ、落ち込み、怒りっぽい、などのマイナスの感情が偏って存在する。

・集中力ややる気が出ない、注意力も低下している

・手足の冷え

・生理不順

・動悸、胸の痛み

発症の経過・原因

彼女は社会に出るようになってから仕事一筋に頑張ってきたそうです。順調にキャリアを築いてきたあるタイミングで転職したそうです。そのタイミングで直属の上司と全く相性が合わず、ストレスをためていきました。なかなか自分の思うように仕事ができず、自分のやり方に合わない形で仕事をすすめなければいけないことが増えていったそうです。仕事の成果もなかなか出すことができずに徐々に精神的なストレスが身体の症状に出てきたそうです。当初は首、肩、背中の筋肉の酷い緊張と痛みが半年以上続いていたようです。そしてその後から徐々に主訴にあるような全身的な症状へと広がっていったようです。明らかに身体がおかしくなったと実感し、何科を受診すればいいのかわからないまま耳鼻科、内科、整形外科などを回ったそうです。その中で医師からは「自律神経失調症」という名が告げられました。ただ、処方される薬を飲んでもなかなか良くなりません。他に何か良い選択肢はないのものかとネットなどで自律神経失調症の治し方や対処法を調べる中で鍼灸治療を知るようになり友人経由で当院を受診することになりました。

そもそも自律神経失調症の原因はいくつかのタイプがあります。もともと自律神経を乱しやすい体質というのもあるのですが、やはり大きく影響するものが社会的なストレスです。逆にストレスもないのに自律神経失調症になるということはほとんど考えられません。またもう一つ忘れてはいけないものは長期化する酷い痛みなども「ストレス」になるということです。これを多くの方は見過ごしている傾向があるように感じいます。人間のストレスの中で「痛み」というのは最も大きなものです。今回のケースでも大きく関係しています。

治療と予防

自律神経失調症のタイプとして3つあります。

(1)交感神経緊張&副交感神経低下(大人の患者のほとんどがこのタイプ)

(2)副交感神経緊張&交感神経低下(鬱傾向の患者に多い)

(3)交感神経低下&副交感神経低下(健康状態は悪くないが、不活発)

患者のタイプは(1)に該当します。幼児や高齢者以外の自律神経失調症の患者の多くはこのタイプだと思います。彼女の発症のプロセスをご説明するとまず発症初期の段階として新しい上司との日々の軋轢によって慢性的にストレス持続していたことです。そして見逃せないことが「首・肩・背中の酷い緊張と痛み」です。この段階では自律神経失調症とは言えない状態ですが、前述したように痛み自体が大きなストレスとなっていたと考えられます。ご本人も常に痛みが気になってイライラしたり、その事自体が二次的なストレスになったと述懐していました。このように長期化する強い痛みというのは容易に人を負のスパイラルに陥れます。このケースではそれが自律神経失調症という状態にまで発展してしまっていると考えれます。

この患者さんのタイプは交感神経が過剰に亢進して戻りにくい状態になっています。こんなときこそ鍼灸の出番なのです。鍼灸はアンバランスになった自律神経を整えるにはうってつけの治療手段です。ただぎっくり腰のように一回で治ることは考えられません。今回のケースでも9割型症状が出現しなくなるまでに週に1回の治療で3ヶ月ほどの治療期間を要しました。また患者に簡単な運動と食生活の改善をお願いしました。

交感神経が緊張していると体には反応点(筋肉上にあるツボ)が出てきます。「反応する」というのは痛覚が過敏になっていたり硬結(1cm程度のコリ)の存在を意味します。そのツボを触診しながら特定しつつ鍼治療を施します。これは頭から足まで全身に反応点が出てきますので、丁寧にそのツボを探して治療します。そうすることで交感神経の緊張状態が徐々に緩和されていきます。これを毎週繰り返すのです。また指導した運動の内容もいたって簡単なものです。週に3回、ジョギング(1回30分)を実践していただきました。また食生活の改善については、まず自律神経失調症が安定するまではコーヒーを断ってもらうことにしました。。(治れば飲んでもOKです。)食に関してはもっと色々なことを想像される人も多いかと思いますが、自律神経失調症には食をオーガニックにしたところでほとんど関係がないと思われます。またお茶は良くてなぜコーヒーはダメなのかと思う方もいらっしゃいます。これに関して明確な根拠はないのですが、これまでの患者さんを見てきた経験則です。

※上記の簡単な運動について、実はこんな簡単なものが脳や神経系に由来する病気を治してしまうと言われています。パニック障害やうつ病、認知症などの効くというのです。これは単に運動をするとスッキリするというものとは違う生理学な意味があります。このことは米国のいくつかの研究でも証明されています。この話はまた別の記事で展開したいと思います。

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こちらに掲載された事例、体験談は患者様個人の治療成果や感想であって、万人への治療効果を保証するものでないことをご理解ください。治療による効果には個人差があります。