五十肩は首コリが原因であることがほとんどです。そこを治療しないから再発も多いのです。

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患者

診断名：五十肩（肩関節周囲炎）

年齢・性別：４０代後半・女性

住まい：藤沢市

職業：ケアマネージャー

症状・主訴

（１）右肩外側、後面の痛み。特に右腕を真横から肩の位置まで挙げようとするときの痛み

（２）手を頭の位置に持って行く（結髪動作）、手で帯をしめるように腰の位置に持って行く（結帯動作）の際の痛み

（３）肩が上まで挙らない（運動障害）

発症の経過・原因

患者の女性はケアマネージャーをされていて、介護業界におりますが患者を持ち上げたり移乗したりすることはない職種です。どちらかというと施設でデスクワークをしていることが多いような仕事内容なのです。そして今までに肩を痛めたことはないという状況でした。

あるときふと肩の痛みに気がついたようなのですが、ちょっとした違和感と痛み程度だったので特に何もせずにそのままにしておいたようです。しかし徐々に肩の痛みが増悪していき一時期は夜寝ていても痛みが出るような状況だったようです。整形外科を受診したところ石灰沈着性腱板炎の疑いがあるとのことでヒアルロン酸注射、ステロイド注射、マッサージの処置と痛み止めを処方されたようです。ただ肩の安静時の痛みや動作時の痛みは一向に改善する気配がみられませんでした。

また痛みとともに肩関節全体が動かしにくく固まったような状況にまで進行してきていたようです。整骨院などの電気治療やマッサージでも治らず、知人を介して当院にご連絡いただきました。

五十肩の治療・治し方

まず五十肩というのは肩関節周囲炎、凍結肩などと呼ばれ、石灰性腱炎、上腕二頭筋長頭腱炎、肩峰下滑液包炎、烏口突起炎などの疾患に当てはまらない肩関節痛をひとまとめにした呼び方です。この患者さんは整形外科では石灰沈着性腱板炎という診断があり、ステロイド注射などをしますがほとんど改善しなかったのは前述した通りです。

私は肩関節の痛みや運動制限が石灰沈着が原因ではないのでは？と考えて治療したのです。その理由は触診した際の筋肉の状態でした。肩関節は７つの筋肉に覆われて動いているのですが、実にその中の５つほどに極度の緊張が感じられました。本来は押せば弾力があって沈みこむのが筋肉ですが患者の肩の筋肉はカチカチの状態で、例えるならばタイヤのゴムのような硬さをもっていました。肩を取り巻く筋肉が硬くなると筋肉自体の筋膜にある痛覚センサーが反応して痛みを発生させるのです。そして硬くなると肩の動きも制限されます。

ではなぜ患者さんの肩の筋肉は極度に緊張してしまったのでしょうか？

これは頸部（首）の筋肉の過緊張とそれを牽引力とした椎骨のアライメント不良（歪み）からきているのです。それらによって肩の筋肉を支配する頸神経の根元を圧迫し、その支配先である肩関節周囲の筋肉を病的に緊張させてしまっているのです。

この患者さんは肩関節を使って重いものを持つような動作は何もしていないのに五十肩になってしまったことの説明にもなります。常日頃からPCを使うようなデスクワークの方が「頸部の問題→肩関節痛」となりやすいのです。

よって治療方針としては、根本治療として頸部深層筋（頸椎際：首の後ろ側）、頸神経叢の出口付近（天窓穴：首の横側）への針治療です。そして対症療法として痛みを発している筋肉である棘上筋（巨骨穴）・棘下筋（天宗穴）・小円筋（肩貞あな）・大円筋・肩甲下筋への針治療ということになります。また針治療で首の筋肉を緩めた後で補助的に仰向けの状態で頸部の緊張している筋肉のリラクゼーションマッサージと、頸椎の並びの調整をします。

ただここまでやったとしても五十肩というのはぎっくり腰の治療のように１回で治ることはまずありません。この患者さんにしても効果を感じていただけたのが３診目ぐらいからでした。そのことは事前にご説明した上で治療をさせていただいたので計画的に治療をすることができました。初めの２ヶ月はスケジュールが合うかぎり毎週治療させていただき、３ヶ月目からは隔週での治療をしました。３ヶ月半ぐらいで痛みは改善し、運動制限も改善していきました。その後は１ヶ月に１度ぐらいは根本的な問題であった首の筋肉や椎骨の調整をするのと同時に、デスクワークで疲労した体のリラクゼーション治療をしています。今では患者さんは眼精疲労や肩こりもほとんど気にならなくなり、気持ちよく仕事をしていると毎回言っていただけています。五十肩を発症したらなるべく早くご連絡ください。

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【免責事項】

こちらに掲載された事例、体験談は患者様個人の治療成果や感想であって、万人への治療効果を保証するものでないことをご理解ください。治療による効果には個人差があります。