VDT症候群は治ります。
VDT症候群とは
VDT症候群(Visual Display Terminal Syndrome、テクノストレス眼症)とはの略でパソコンやスマホなどの発光するディスプレーを見る時間が増えたことで起きているとい説明が一般的だと思います。つまり目の使いすぎによって症状が起きていると思われがちです。しかし実際には目の使いすぎによる症状というよりも首の使いすぎで起きているのです。
まず一般的なVDT症候群の症状を挙げて見ましょう。
・目の症状・・・ドライアイ、充血、視力低下、眼精疲労
・体の症状・・・首、肩、背中の痛み、腕の痛みやしびれ、
・頭の症状・・・頭痛、ぼんやりする、のぼせる
・気分障害・・・イライラ、抑うつ状態、不安
VDT症候群というと上記の症状がよく言われていると思います。そして一般的な原因としては長時間のパソコン作業やスマホの見過ぎです。そしてブルーライトと呼ばれる周波数帯の光がさらに目に良くないという話もあります。確かにVDT症候群のような症状が起きる原因の一部は目の使いすぎにもあるかもしれません。ただ当院にVDT症候群を訴えてご来院される方の中にはパソコンやスマホの視聴時間を極端に短くしたりしているのに症状がほとんど消えないのです。もしパソコンやスマホなどの長期使用によって症状が起きるのであれば目を休まされば少しは改善しても良さそうなものです。でも実際には症状はほとんど改善していません。
なぜなのでしょうか?
それはVDT症候群が「首こり」から起きているからです。首こりについての詳しい記述は以前に書いた記事に書いてあります。(首こりの危険性・対処法)
首の問題がなぜ前述のように「目、肩、背中、腕、頭、気分」など多彩な症状を産むのでしょうか?
私としては「首が根本原因だからこそ肩や腕にまで症状が出る」と確信しているのです。一つづつ説明して行きましょう。
◉目の症状
目の痛覚を司っているのは三叉神経と言われる神経なのですが、三叉神経の感覚繊維というのは脳幹と頸髄(首)に分布しているのです。これを三叉神経脊髄路核と言います。シンプルにまとめると目の症状と言うのは「首」でも感じていると言うことなのです。下図を見ると三叉神経が首の部分にまで繋がっているのがよくわかると思います。全てを脳で感じているわけではないのです!これ自体驚きですよね。
その前提で、スマホやパソコンなどのうつむき姿勢によって首の後部の筋肉が緊張してしまうとどうなるのでしょうか?後頭部の筋肉(頭半棘筋、後頭下筋群)の緊張によって大後頭神経と言う神経に長期的に刺激が入ります。そして大後頭神経は頸髄に繋がります。つまり目の感覚を感じている場所です。何が言いたいのかと言うと目の感覚を感じている「頸髄(首)」は後頭部の緊張からくる不快感を目の不快感だと錯覚するのです。その証拠に首の後ろの部分の治療すると目の症状はすぐに消えてしまうこともあります。
◉体の症状
これも首で説明できます。以前に胸郭出口症候群と言う首の前面・側面のこりによって肩、背中、腕などに痛みや痺れが出るケースをご紹介しました。(胸郭出口症候群(TOS)(藤沢市・50代前半・主婦))
肩や背中、腕の知覚や運動を支配する腕神経叢と呼ばれるものは首の部分の中枢神経(頸髄)から出てきて首の筋肉の間を通り、腕や肩に分布して行きます。下記の図の赤丸部分のように過緊張した首の筋肉(前斜角筋・中斜角筋)の間を通り抜ける時に強く圧迫されます。そして圧迫されることでその支配先である首、肩、背中などに痛みや痺れ、筋肉の緊張と言う症状を出すのです。やはりこれも「首こり」が原因であることがわかりますね。
◉頭の症状、気分障害
これはもっとシンプルです。頭と言うのは最も酸欠(血流不足)に弱い組織です。なので少し酸素が足りなくなるとすぐに機能の低下を起こしてしまいます。
そもそも血流は心臓から出てきて「首」を通過して脳や顔面部に至りますよね。でも、首こりによって頸動脈、椎骨動脈、静脈などが圧迫されるとどうなるでしょうか?脳への血流と脳から戻る血流が妨げられるのです。そうなると脳には酸素が十分に行き渡らず血がうっ滞してしまいます。それによって頭や気分の症状が起きるのです。
※頭痛に関しては首こりによる大後頭神経、小後頭神経の圧迫によってダイレクトに起きてくるのです。
以上のようにVDT症候群と言うのは首こり症状と言うことでほとんど説明がついてしまいます。もちろん少しはブルーライトなどによる目への悪影響もあるのかもしれませんが。
VDT症候群の鍼灸治療
前述したようにVDT症候群の根本的な治療と言うのは後頚部や側頚部の筋緊張を取り、血管や神経の圧迫を解除することが最も重要なことになります。
そして首の筋緊張をとるのに最も適しているのはマッサージでも整体でもなく針治療です。これは何度も当サイトで申し上げているのですが、筋肉の緊張をとるのに最も即効性があるのは針治療を置いて他にはないのです。私はマッサージも整体もできます。でも針治療を選択しているのです。一度でいいので怖がらずに試してみてくださいね!痛みと言うよりズーンと言う独特の響きを感じていただけると思います。人によってはそれが非常に気持ちいいようです。
治療点としては頭板状筋、頭半棘筋、斜角筋、後頭下筋群などの緊張部位に直接刺針して行きます。ただしっかりとした解剖の知識と触診のスキルがないとどこに刺していいのかわからない鍼灸師も多いと思います。ツボとしては完骨、風池、天柱、上天柱、百労、肩中兪などになります。
VDT症候群というのは首こり病の一種なので首の問題を治さなくてはいけないのです。VDT、眼精疲労、ドライアイなどの鍼灸治療はかなり多く経験しております。藤沢、鎌倉、茅ヶ崎など湘南エリアでお困りの方はぜひ当院にご連絡ください。