背中の痛み(藤沢市・40代前半・男性)

背中の痛みには鍼灸(針)ですぐに改善します。

患者

症状:左背部の痛み

年齢・性別:40代前半・男性

住まい:藤沢市

職業:会社員(営業)

主訴・症状

・左背部の持続的な緊張と痛み

※典型的な筋・筋膜性疼痛でした。背部の痛みというのは稀に内蔵の疾患などによるものがあるのですが多くの場合は筋肉の緊張によって起きます。

原因・経過

痛みのきっかけは特になく2ヶ月ほど前から背中に違和感を感じ始めて、徐々に痛みが増していったようです。就寝時も背中に違和感があり寝付きにも影響するほどだったそうです。腰部と胸部の境目あたりの左背部の緊張と痛みを訴えてご来院されました。

この患者さんは営業をされています。ただ現代の営業活動というのは色々な点でIT化が進んでています。営業管理、営業報告、資料作成、プレゼンテーション、など全てがPC抜きでは成り立ちません。この患者さんの一日のスケジュールをうかがっても常にノートPCとともに動いています。現代の多くのビジネスパーソンに当てはまるのではないでしょうか?出先の電車の中、客先、自社、どの場面においてもPC作業がつきものです。

ノートPCを常に扱う方に背中や首の痛みというのは非常に多いと感じます。ひどくなると手のしびれや痛みも伴って睡眠が困難になったり、痛みのあまり抑うつ状態に陥るかたもいらっしゃるほどです。それほど背部の痛みというのは不快なものなのです。

(関連記事:首の痛みと手のしびれ(藤沢・30代前半・男性)

幸い背部の痛みだけだったため、比較的治りやすい状態でした。触診してみると背中と腰の境目あたりの筋肉(脊柱起立筋)が右に比べて盛り上がっていて、その部分だけ筋肉が短縮しているのがわかりました。そして触診のために指圧するといた気持ちいい感覚がありました。その他に問診や舌の状態などをチェックして内蔵などによる背中への関連痛でもなく、典型的な筋・筋膜性疼痛と考えて治療しました。(関連記事:筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)

治療・予防

背部の筋肉の痛み(筋膜痛)に対して鍼灸治療は非常によく効きます。

Superficial_Back_Line

 まず身体にはいくつかの筋膜のラインが存在します。筋膜というのは筋繊維を覆っている膜です。鶏肉のモモの表面を膜が覆っているのを想像していただければわかりやすいと思います。その筋膜は筋肉ごとに独立しているわけではなく、他の筋肉と連結しながら身体を結んでいるのです。今回の患者さんの問題になっている筋膜ラインは足の踵にはじまりふくらはぎ、モモの裏、お尻、仙骨、背中、首の後ろを通り最終的にはおでこあたりに付着しているsuperficial back lineという筋膜です。ちなみにこの筋膜ラインと東洋医学の太陽膀胱経という経絡ラインはほぼ一致しています。そのため経絡や気というものは筋膜とそこを伝うテンションのことを言っているのではないかという考えもあります。

左図のように筋膜はつながっているのです。このラインの一部に問題のある患者さんというのはこのライン上の他の部分にも問題があり、その問題を解決することで本来の状態を取り戻すことができるのです。

さて今回の患者さんはデスクワークで日頃からノートPCなどを使います。そのことによってこのライン状の頸部や肩部、モモの裏に筋肉の硬結(コリの強いもの)が存在しています。このラインを一つのテープと考えると頸部やモモの裏に強い緊張ができたことでテープ全体にテンション(緊張)が発生します。そしてこのライン上のどこにでも緊張による問題が発生しやすい状況になるのです。今回はたまたま背中に筋膜痛を発症したということです。

そこで今回の治療対象となるのは頸部やモモの裏などの筋肉の硬結や緊張を鍼治療で緩んだ状態にさせ、筋膜ライン全体の緊張を取ります。そして痛みの局所である背中の緊張も取っていくのです。最後に仕上げとして、筋膜全体の緊張を緩和する目的で筋膜リリースという筋膜マッサージを施します。※この順番(針→マッサージ)は非常に重要です。筋肉のテンションを取るには初めに針治療をすることが大切です。(関連記事:なぜ鍼灸治療でコリが取れるのか?

これを実施したことで背中の痛みは半分ぐらいまで改善しました。この患者さんには当初は週に1回ほどご来院いただき、3回目でほぼ痛みは消失しました。正しい針治療を実施すれば背中の痛みはかなりの高確度で治るのです。

その後、この患者さんは月に1回か2回程度メンテナンスを実施して同じような痛みが起こりにくい身体になるようにしています。

【免責事項】

こちらに掲載された事例、体験談は患者様個人の治療成果や感想であって、万人への治療効果を保証するものでないことをご理解ください。治療による効果には個人差があります。