胸郭出口症候群は整体で治るのか?

胸郭出口症候群は整体では治りません。

胸郭出口症候群(TOS)に最も適した治療とは?

私は日頃から患者さんの疾患、病態、病期(急性期・慢性期など)、体質などに合わせて鍼灸、マッサージ、整体、カイロなどの手技療法を一つ選択したり、組み合わせて治療にあたっています。その経験から胸郭出口症候群にはどんな治療が適しているのかよくわかっています。答えは鍼灸です。これは多くの治療家の共通認識ではないかとすら思います。

そもそも世の中に整体だけで色々なことが治ってしまうかのようなイメージがあります。でもそれは大きな誤解だと思っています。もし私が整体しかできなかったら治せる疾患は大幅に減ってしまうと思います。世の中の多くの人が抱える痛みを伴う疾患は筋肉や靭帯の緊張に由来するものがほとんどです。もちろん免疫系やホルモン系、ガンなどの疾患に伴う痛みもあります。

胸郭出口症候群も過緊張した筋肉(斜角筋、鎖骨下筋、小胸筋など)が神経を圧迫することで起きる強い痛みやしびれの症状です。つまりこの症状を治すには過緊張していまった筋肉を元に状態に速やかに戻す必要があるのです。その作用を最小限の刺激で発揮できる最適な治療法は針治療です。詳しくは関連記事をご覧ください。

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もし首や肩の筋肉の病的な緊張をマッサージや整体で取ろうとするとどうなるでしょうか?

まず問題となる筋肉は皮膚の上から押圧してほぐそうとするとその途中にある他の組織や深部の筋肉まで痛めてしまう可能性が高いのです。とくに胸郭出口症候群で最も問題となる筋肉(前・中斜角筋)は首の中層に位置します。また首の筋肉というのは人体の中でもかなり細い筋繊維で構成されています。臀部(お尻)の筋肉の1/30ほどの細さだと言われています。だから首や肩のマッサージはもみ返しやすいのです。

マッサージや整体をするにしても針治療をした後の頸椎や筋肉の調整として補助的なものとして使います。

胸郭出口症候群と病院で診断されて思うように改善しない場合には腕のある鍼灸師に相談していただきたいです。