うつ病の鍼灸治療

目次

はじめに

鍼灸治療前のうつ病カウンセリング

うつ病の鍼灸治療

うつ病の鍼灸治療と運動療法

うつ病の鍼灸治療の科学的根拠

うつ病の鍼灸治療:メディアでの紹介

お仕事の再開について

はじめに

当院にはうつ病、パニック障害、不安神経症、適応障害、身体表現性障害などを抱えた方が来院されます。

私も20後半に不安障害とそれに伴うひどい自律神経症状を抱えたことがあります。その体験も踏まえて患者さんの助けになれればと考えています。

当院にご来院される患者さんやご家族の多くは「薬を使わずにうつ病を治したい」と希望していることも多いです。確かに精神科や心療内科などの投薬治療でその時は多少気分が良くなったとしても薬が手放せないようになってしまっては本来の健康な心身になっているとは言えないので、当然のご希望だと思います。

「薬を使わないうつ病の治療」って一体どうすればいいの?と考えインターネットなどで様々な情報を調べた上で当院にご連絡いただくことが多いのです。

鍼灸治療前のカウンセリング

鍼灸治療以前にそもそも「なぜうつ病になってしまったのか?」という問いは非常に大切だと思います。何事も正しい問題認識があって初めて正しい解決策が存在するからです。仮に鍼灸だけで症状が改善してもその後時間が経って再び同じ問題に直面してうつ病になってしまうかもしないからです。

もちろんご本人が認識していないような過去の深いストレスがあって解決が簡単ではない場合もあります。しかしすぐに解決できなくても根本的な問題を認識する姿勢は持っていた方がいいと思います。

心の問題が起きる背景には患者さんの性格、親子関係、夫婦関係、職場の人間関係、仕事内容、人生観などが複雑に絡み合っています。人間なかなか一人ではご自身の中にある原因に気付くことができないものです。だからこそ鍼灸治療をしながらお話をしてゆっくりと気づいていただければと思っているのです。

カウンセリングも兼ねた対話の中で患者さんと一緒に考えて行きます。もちろん無理強いはしません。初めは鍼灸で心身を楽にするだけでも結構です。

うつ病の鍼灸治療

まだ世の中の認知度は低いのですが、うつ病、パニック障害、不安障害、身体表現性障害などに鍼灸が効くケースが多いです。特に心の問題と共に、首、頭部、背中、腰などに強張りや痛みなどを伴う方は特に効きやすいと思っています。またうつ症状以外にめまい、便秘、下痢などの自律神経症状を有する場合にはかなりの確率で鍼灸治療が効きます。

このような場合には顔面部 表情筋や脊柱起立筋などの抗重力筋への鍼灸刺激が有効なケースが多いです。抗重力筋にはセロトニン神経系や自律神経系が多く分布しています。この緊張を緩和することで症状改善につながる可能性が高いと思われます。 特に顔面部のツボは前頭葉に与える影響が強いため、顔面部の施術後に頭がスッキリするはずです。

また首のコリをきっかけにうつ病になる人がいたり、精神疾患の後に首の病的な緊張を起こす人がいたり、首は鍼灸治療をする上では重要な場所になります。

そしてうつ病とともに入眠障害や早朝覚醒などの睡眠障害のある患者さんも多いと思います。この場合は少し熱めのお灸を併用して治療して行きます。

ところで、そもそもなぜうつ病の治療に鍼灸が効くのでしょうか?

もともと鍼による侵害刺激やお灸の熱さは人間や生物にとって不快なものであるはずです。不快なものがなぜ効くのでしょう。

人間の脳には太古から存在する動物としての脳(旧皮質)とヒトとしての脳(新皮質)がありますが、旧皮質には心身を正常に保つための動物としての機能(ホメオスタシス)が存在しています。うつ病が旧皮質の機能の低下になどによるものと考えられます。その古い脳は本来ストレスであるはずの侵害刺激(鍼)や熱の刺激(灸)によって、その刺激に対抗する形で活性化されるのです。

うつ病の鍼灸治療と運動療法

これは非常にシンプルです。まずはご自宅などで2、3日に1度のペースで20分程度の有酸素運動をしていただきます。もちろんそんなやる気すら起きない方、心因性の痛みがあってウォーキング等もできない方がいるのもよくわかっています。そういう方は痛みが取れてからで結構です。

そもそも心の問題の病態というのは脳の神経伝達物質(セロトニン)などが量的なバランス崩した状態にあると言われています。本来であれば普通にしていてもそのバランスが保たれているのにうつ病になるとアンバランスになってしまうのです。それを解決するために脳も含めた全身の血流をあげて老廃物を除去して新鮮な血液を身体中に巡らせるというシンプルな方法が有効だと考えています。

脳という臓器は体の中でも最も虚血(酸欠)に弱い臓器で、少し酸素が欠乏しただけでもぼんやりしてしまったり、記憶できなくなってしまったりと正常に働かなくなります。ですので新鮮な酸素が脳に十分に行き渡るように運動療法をしていただくのです。

運動療法をする上で重要なポイントをいくつかご紹介します、「飽きたらやめること」「義務的にやらない」「計画通りに運動できなくても気にしないこと」などです。これはトレーニングではありません。自分の気持ちを少しでも良くして行くための治療です。なので誰もとがめたりはしませんので自分の判断でやめてもいいのです。そして適当に長くやることが大切なのです。

うつ病の鍼灸治療の科学的根拠

現在世界各国で様々な症状に対する鍼灸治療のエビデンス(科学的根拠)が出されています。

医学の科学的根拠に関して世界的に最も信頼性のあるデータベースに「コクランライブラリー」というものがあります。うつ病に対しての鍼灸治療の効果をうたった64件の試験(参加者7104例)があります。まだエビデンスの質に改善余地があるものの「鍼治療は、通常のケア/無治療と比較して、うつの重度を中等度軽減する可能性がある。鍼治療は、対照鍼治療群と比較して、うつの重度を少し軽減する可能性がある。」との記載があります。

コクラン:うつ病に対する鍼治療

うつ病の鍼灸治療:メディアでの紹介

近頃ようやく痛み以外の分野で鍼灸治療に有効性があることがメディアでも紹介されるようになってきました。先日もNHKの番組でイギリスでの事例が紹介されました。

鍼灸によるうつ病の治療

お仕事の再開について

鍼灸治療によって少し改善してくるとお仕事の再開を考える方も多いです。

「いつかまた仕事をしたい」と前向きな気持ちが出てくる方も多いです。ただまた同じことになってしまたら、、、と不安があってなかなか一歩を踏み出せないことも多いです。

そんな方におすすめの活動があります。それは介護施設でのボランティアを始めることです。ボランティアなので活動は本人の希望を受け入れてもらえるケースも多いと思いますし、お金をもらっていないので精神的に気楽だと思います。

なぜ私がある程度改善した患者さんに介護施設でのボランティアをおすすめするのか。

それは人間が心身が健全であるためには人との触れ合いが必要だと思うからです。うつ病でしばらくお仕事をしていない状態になると、触れ合う人は限られてしまいます。そこをワンステップあがっていただきたいのです。でも突然アルバイトをしてきつい上司や同僚だったら嫌ですよね。また介護施設は地域に増えているので通勤時間もさほどかからないことが多いと思います。

ボランティアをすることで利用者さん、施設のスタッフさんなどに感謝される場面も必ずあると思います。「あなたがいてくれて助かります」「ありがとうございます」などの言葉は人間にとって癒しになる場合も多いと思います。たったそれだけの言葉ですが、ご自身が社会に必要とされていることを改めて実感することと思います。

ボランティアなら何でもいいわけではなく、人に対して直接コミュニケーションをとってサービスを提供するお仕事が理想です。それでいて困難な環境ではないことが非常に大事です。さすがにボランティアさんに対して無理なことを言う企業は少ないと思います。ご興味のある方は、「地域名 介護施設 ボランティア」などで検索をして調べてみると良いと思います。

もしボランティアで働くことの雰囲気がつかめて自信がでてきたら、そのままその施設で働くという選択肢も出てくると思います。

・藤沢のボランティアについて掲載されているページを紹介します。

藤沢市社会福祉協議会・ボランティア募集情報

◉追記

・これまで精神疾患の患者さんを多く見てきましたが、うつ病の初期段階は自律神経失調症です。いきなりうつ病を発症することはほとんどありません。

そしてうつ病は早い段階でご来院いただければいただくほど治るのも早くなります。ですので本来は自律神経失調症のような症状が出はじめたときにご来院いただきたいと切に願っています。(2019年1月追記)

・治療期間について尋ねられることが多いのですが、患者さん個人個人によって状況や病態が異なるため一概に答えられないのが現状です。ただ大雑把な目安としてはパニック障害は比較的早く治癒するケースが多く(3ヶ月〜6ヶ月)、不安障害は比較的長く時間がかかる傾向にあります(6ヶ月以上)。統合失調症は概して治療い時間がかかります(1年以上)。(2019年1月追記)

藤沢、鎌倉、茅ヶ崎などの湘南エリアで薬を使わずにうつ病などを治したいけれど、どのようにしていけばいいのか迷っている方は一度ご相談ください。

うつ病と同時に自律神経失調症の症状が起きていることも頻繁にありますので、関連記事として下記もお読みください。

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