院長 西村 太一

この記事の執筆・監修

院長 西村 太一

はり師・きゅう師(国家資格)

難治性疾患を中心に、お一人おひとりの体質に合わせた鍼灸治療を行っています。

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結論: うつ病・不安障害に対する鍼灸は、23件のRCTを統合したメタ分析(PLOS ONE, 2023)で偽鍼や抗うつ薬単独と比較して有意な症状改善が報告されています。特に首・背中のこわばりや、めまい・不眠などの自律神経症状を伴うタイプに反応しやすい傾向があります。※効果には個人差があります。

うつ病で当院に来られる方

当院にはうつ病、パニック障害、不安神経症、適応障害、身体症状症などを抱えた方が来院されます

私も20後半に不安障害とそれに伴うひどい自律神経症状を抱えたことがあり、起きた瞬間から気分がグレーで周囲に理解してもらうこともできません。そして、こんな気分が一生続くのなら生きているのは地獄以外の何ものでもないと感じていました。しかし今はその闇のようなトンネルから抜け出して、明るい世界を感じられるようになりました。その体験も踏まえて少しでも患者さんの助けになれればと考えています。

当院にご来院される患者さんやご家族の多くは「薬を使わずにうつ病を治したい」と希望していることも多いです。確かに精神科や心療内科などの投薬治療でその時は多少気分が良くなったとしても薬が手放せないようになってしまっては本来の健康な心身になっているとは言えないので、当然のご希望だと思います。

「薬を使わないうつ病の治療」って一体どうすればいいの?と考えインターネットなどで様々な情報を調べた上で当院にご連絡いただくことが多いのです。

 

鍼灸治療前のカウンセリング

鍼灸治療以前にそもそも「なぜうつ病になってしまったのか?」という問いは非常に大切だと思います。何事も正しい問題認識があって初めて正しい解決策が存在するからです。仮に鍼灸だけで症状が改善してもその後時間が経って再び同じ問題に直面してうつ病になってしまうかもしないからです。

もちろんご本人が認識していないような過去の深いストレスがあって解決が簡単ではない場合もあります。しかしすぐに解決できなくても根本的な問題を認識する姿勢は持っていた方がいいと思います。

心の問題が起きる背景には患者さんの性格、親子関係、夫婦関係、職場の人間関係、仕事内容、人生観などが複雑に絡み合っていることも多いものです。人間はなかなか一人でご自身の中にある原因に気付くことができないものです。だからこそ鍼灸治療をしながらお話をしてゆっくりと気づいていただければと思っているのです。

また心の問題ではないうつも多く存在します。ビタミンミネラル系の栄養の不足によって起きる鬱や、ホルモンの過不足によって起きる鬱もあるので、いずれにせよカウンセリングの中でうつの原因のヒントを探っていき、鍼灸治療にプラスしてどんなことをするのがベストなのが考えていきます。

もちろん話したくないことを無理に聞いたりはせません。初めは鍼灸で心身を楽にするだけでも結構です。

 

うつ病の鍼灸治療

まだ世の中の認知度は低いのですが、うつ病、パニック障害、不安障害、身体症状症などに鍼灸が効くケースが多いです。特に心の問題と共に、首、頭部、背中、腰などに強張りや痛みなどを伴う方は特に効きやすいと思っています。またうつ症状以外にめまい、便秘、下痢などの自律神経症状を有する場合にはかなりの確率で鍼灸治療が効くことが多いと感じます。

このような場合には顔面部 表情筋や脊柱起立筋などの抗重力筋への鍼灸刺激が有効なケースが多いです。抗重力筋にはセロトニン神経系や自律神経系が多く分布しています。この緊張を緩和することで症状改善につながる可能性が高いと思われます。 特に顔面部のツボは前頭葉に与える影響が強いため、顔面部の施術後に頭がスッキリするはずです。

また首のコリをきっかけにうつ病になる人がいたり、精神疾患の後に首の病的な緊張を起こす人がいたり、首は鍼灸治療をする上では重要な場所になります。

そしてうつ病とともに入眠障害や早朝覚醒などの睡眠障害(不眠)のある患者さんも多いと思います。この場合は少し熱めのお灸を併用して治療して行きます。

身体症状症(旧・身体表現性障害)と鍼灸

検査をしても異常が見つからないのに、痛み・倦怠感・めまい・胃腸の不調などの身体症状が続き、その症状への不安や心配が生活に大きく影響している状態を「身体症状症」といいます。以前は「身体表現性障害」と呼ばれていた疾患で、うつ病や不安障害と併存することも少なくありません。

身体症状症の患者さんの多くは、内科や整形外科を何軒も受診しても「異常なし」と言われ、行き場を失って当院に来られます。「気のせい」「心の問題」と片付けられてつらい思いをされた方も多いのですが、症状そのものは実際に存在しています。

このタイプの方には、首・肩・背中などに強い筋緊張や圧痛が見られることが多く、鍼灸でこうした身体側の緊張を丁寧に緩めていくと、症状の軽減とともに「症状への不安」も和らいでいく方が多い印象です。身体からアプローチできることが、鍼灸の一つの強みだと考えています。

身体の各所に痛みが広がるタイプの方は、[線維筋痛症の記事]も参考になるかもしれません。また、思春期のお子さんで朝起きられない・立ちくらみなどが目立つ場合は[起立性調節障害の記事]をご覧ください

なぜうつ病に鍼灸治療が効くのか?

そもそもなぜうつ病に鍼灸治療が効くのでしょうか?
もともと鍼による侵害刺激やお灸の熱さは人間や生物にとって不快なものであるはずです。不快なものがなぜ効くのでしょう。人間の脳には太古から存在する動物としての脳(旧皮質)とヒトとしての脳(新皮質)がありますが、旧皮質には心身を正常に保つための動物としての機能(ホメオスタシス)が存在しています。うつ病が旧皮質の機能の低下になどによるものと考えられます。その古い脳は本来ストレスであるはずの侵害刺激(鍼)や熱の刺激(灸)によって、その刺激に対抗する形で活性化されるのです。

下記にもう少し科学的な説明を加えましす。

炎症マーカーの低下
慢性的な炎症がうつ病と関係していることが分かってきており、鍼灸は炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)を低下させる可能性が報告されています。

自律神経系への作用
鍼灸は、交感神経と副交感神経のバランスを調整する作用があります。うつ病では多くの場合、交感神経が過剰に働き、副交感神経の働きが低下しています。鍼灸刺激によって副交感神経が優位になり、リラックスや気分の安定をもたらすことがあります。

脳内ホルモン(神経伝達物質)の調整
鍼刺激により、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質が増加することが動物実験や一部の臨床研究で示唆されています。これらはうつ病の治療でも標的とされる重要な物質です。

HPA軸の調整(ストレス応答の正常化)
うつ病では視床下部-下垂体-副腎(HPA)系が過剰に活動していることがありますが、鍼灸はこの軸を正常化する可能性があるとする研究があります。

うつ病の鍼灸治療に関しての科学的根拠

下記にうつ病と鍼灸治療の関係性の研究のリンクとその要約を貼ります。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0282661
要約:
この研究は、うつ病(大うつ病性障害)に対する鍼治療の効果と安全性を評価するため、無作為化比較試験(RCT)を対象にした系統的レビューとメタアナリシスである。合計23件の研究が分析され、鍼治療は偽鍼(プラセボ)や抗うつ薬単独と比較して、うつ症状の改善に有意な効果を示した。特に、鍼と抗うつ薬の併用は、抗うつ薬のみよりも効果が高いとされた。また、副作用の発生率は低く、安全性も高いことが示唆された。ただし、一部の研究はバイアスのリスクがあり、結果の解釈には慎重さが求められる。全体として、鍼治療はうつ病に対する有望な補完療法と結論づけられている。

うつ病の民間療法・代替療法にはどんな選択肢があるのか?

「薬を使わずにうつ病を改善したい」と考えたとき、選択肢は鍼灸だけではありません。代表的な方法を整理すると以下のようになります。

方法期待できること留意点
鍼灸自律神経の調整、筋緊張の緩和、睡眠の改善。メタ分析で抗うつ薬との併用効果も報告施術者の技術・経験による差が大きい。継続的な通院が必要
有酸素運動セロトニン神経の活性化、脳血流の改善。軽症〜中等症で薬物療法に匹敵するとの報告もうつ症状が強い時期は「やる気が出ない」こと自体が障壁になる
栄養の見直し鉄・ビタミンB群・タンパク質などの不足が背景にある「栄養性のうつ」には有効なことがある自己判断のサプリメント大量摂取は逆効果の場合も。血液検査での確認が望ましい
カウンセリング(認知行動療法など)考え方の癖やストレス要因そのものへのアプローチ。再発予防のエビデンスが豊富保険適用外だと費用が高額になりやすい。相性の合う相談先探しに時間がかかることも

重要なのは、これらは「どれか一つを選ぶ」ものではなく、組み合わせられるということです。当院では鍼灸で心身の緊張を緩めて土台を整えつつ、運動や栄養面のアドバイスを併せて行い、必要に応じてカウンセリングや心療内科との併用もおすすめしています。
なお、うつ病と診断されている方が自己判断で服薬を中止することは危険です。民間療法はあくまで医師の治療と対立するものではなく、補完するものとお考えください。

うつ病の鍼灸治療と運動療法

これは非常にシンプルです。まずはご自宅などで2、3日に1度のペースで20分程度の有酸素運動(心拍数120以上が理想)をしていただきます。もちろんそんなやる気すら起きない方、心因性の痛みがあってウォーキング等もできない方がいるのもよくわかっています。そういう方は痛みが取れてからで結構です。

そもそも心の問題の病態というのは脳の神経伝達物質(セロトニン)などが量的なバランス崩した状態にあると言われています。本来であれば普通にしていてもそのバランスが保たれているのにうつ病になるとアンバランスになってしまうのです。それを解決するために脳も含めた全身の血流をあげて老廃物を除去して新鮮な血液を身体中に巡らせるというシンプルな方法が有効だと考えています。

脳という臓器は体の中でも最も虚血(酸欠)に弱い臓器で、少し酸素が欠乏しただけでもぼんやりしてしまったり、記憶できなくなってしまったりと正常に働かなくなります。ですので新鮮な酸素が脳に十分に行き渡るように運動療法をしていただくのです。

運動療法をする上で重要なポイントをいくつかご紹介します、「飽きたらやめること」「義務的にやらない」「計画通りに運動できなくても気にしないこと」などです。これはトレーニングではありません。自分の気持ちを少しでも良くして行くための治療です。なので誰もとがめたりはしませんので自分の判断でやめてもいいのです。そして適当に長くやることが大切なのです。

治療期間・頻度・料金の目安

「どのくらい通えば良くなりますか?」「どれくらいの頻度で通うのですか?」というご質問をよくいただきます。患者さんお一人おひとりで状況や病態が異なるため一概には言えませんが、これまでの経験からの大まかな目安をお伝えします。

何回くらい・どのくらいの期間で効果を感じますか?

症状や体質によって差がありますが、大まかな目安は以下の通りです。

・パニック障害:比較的早く改善するケースが多い(3〜6ヶ月)
・不安障害:比較的長く時間がかかる傾向(3〜6ヶ月)
・統合失調症:概して長めの期間がかかる(1年以上)

うつ病は早い段階でご来院いただくほど、改善までの期間も短くなる傾向があります。うつ病の初期段階はいわば自律神経失調症の状態で、いきなりうつ病を発症することはほとんどありません。本来は自律神経失調症のような症状が出はじめた時点でのご来院を、切に願っています。改善の経過には個人差がありますが、できるだけ早く治したいとは思って施術しています。

どのくらいの頻度で通えばいいですか?

はじめは週1回程度を目安にご来院いただき、症状の安定に合わせて2週に1回、月1回とだんだん間隔を空けていくのが一般的です。症状やお身体の状態、その他のご事情を考慮して、無理のないペースを一緒に決めていきます。

料金はいくらですか?

料金の詳細は[治療内容・料金のページ]をご覧ください。

通うのが負担になりそうで不安です。

遠方の方や体調的に頻繁な通院が難しい方には、ご自宅でできる運動療法やセルフケアも組み合わせながら、通院回数を抑える方法もご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。

 

うつ病の鍼灸治療:メディアでの紹介

近頃ようやく痛み以外の分野で鍼灸治療に有効性があることがメディアでも紹介されるようになってきました。先日もNHKの番組でイギリスでの事例が紹介されました。

鍼灸によるうつ病の治療

減薬・断薬に協力的なクリニックについて

うつ病を患っている患者さんの中には減薬・断薬をしたいと思っている方も多いと思います。ただ減断薬に積極的な心療内科のクリニックは意外とないものなのです。患者さんの本来のゴールは薬を飲まなくても鬱症状が出ない健康な心身を取り戻すことではないでしょうか?
私も減薬・断薬をしたいという患者さんを鍼灸でこれまでサポートしてきました。ただ薬に関してはクリニックが減薬に積極的でないとなかなか難しいこともあります。
なので当院の患者さんには湘南エリアの特定のクリニックをおすすめすることもあります。

お仕事の再開について

鍼灸治療によって少し改善してくるとお仕事の再開を考える方も多いです。

「いつかまた仕事をしたい」と前向きな気持ちが出てくる方も多いです。ただまた同じことになってしまたら、、、と不安があってなかなか一歩を踏み出せないことも多いです。

そんな方におすすめの活動があります。それは介護施設でのボランティアを始めることです。ボランティアなので活動は本人の希望を受け入れてもらえるケースも多いと思いますし、お金をもらっていないので精神的に気楽だと思います。

なぜ私がある程度改善した患者さんに介護施設でのボランティアをおすすめするのか。

それは人間が心身が健全であるためには人との触れ合いが必要だと思うからです。うつ病でしばらくお仕事をしていない状態になると、触れ合う人は限られてしまいます。そこをワンステップあがっていただきたいのです。でも突然アルバイトをしてきつい上司や同僚だったら嫌ですよね。また介護施設は地域に増えているので通勤時間もさほどかからないことが多いと思います。

ボランティアをすることで利用者さん、施設のスタッフさんなどに感謝される場面も必ずあると思います。「あなたがいてくれて助かります」「ありがとうございます」などの言葉は人間にとって癒しになる場合も多いと思います。たったそれだけの言葉ですが、ご自身が社会に必要とされていることを改めて実感することと思います。

ボランティアなら何でもいいわけではなく、人に対して直接コミュニケーションをとってサービスを提供するお仕事が理想です。それでいて困難な環境ではないことが非常に大事です。さすがにボランティアさんに対して無理なことを言う企業は少ないと思います。ご興味のある方は、「地域名 介護施設 ボランティア」などで検索をして調べてみると良いと思います。

もしボランティアで働くことの雰囲気がつかめて自信がでてきたら、そのままその施設で働くという選択肢も出てくると思います。

 

・藤沢のボランティアについて掲載されているページを紹介します。

藤沢市社会福祉協議会・ボランティア募集情報 

 

 

藤沢、鎌倉、茅ヶ崎などの湘南エリアで薬を使わずにうつ病などを治したいけれど、どのようにしていけばいいのか迷っている方は一度ご相談ください。

完全予約制・国家資格有 ─ 藤沢・辻堂の鍼灸院「和へい堂」

つらい症状やお悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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