頚椎症(藤沢・40代前半・男性)

頚椎症の痛みとしびれは鍼灸(針)で改善します。病院で治らなかった患者さんの多くが治っています。

目次

◯治療例

・患者

・症状・経過

・頚椎症の鍼灸治療

◯一般的な頚椎症のお話

・頚椎症の原因

・頚椎症の症状

・頚椎症の治療

・頚椎症のストレッチ

・頚椎症の枕

患者

年齢・性別:40代前半、男性  住まい:藤沢市辻堂  お仕事:デスクワーク(設計)

症状・経過

・首を後ろに倒したり、回したりした際の激痛

・右肩、鎖骨周りから腕、手の指まで広がるジリジリと焼け付くような痺れと痛み

・腕が重だるく、力が入らない

お仕事がら30代ぐらいから首肩のコリが強くなっていたようです。ただ症状が辛くなった時にだけマッサージや整体などをその場しのぎで受けていたようです。30代後半から首こりや肩こりの度合いが強くなってきてマッサージなどを受けても以前のように改善しなくなっていたようです。そしてある時突然首と手全体に激痛が走りました。今までにない痛みの種類と強さに本人は恐怖を感じたようです。休日だったためそのまま安静にしていたところ痛みが収まるどころか増強していき眠ることもできずソファで首を前に倒してうたた寝しかできなかったようです。翌日、整形外科でX線検査、MRIなどを撮ったところ変形性頚椎症との診断がなされたようでした。病院ではコルセットの装着や牽引、プレガバリン(リリカ)、メチコバールやビタミンB12などの神経再生薬を処方されたようですが痛みはほとんど変わらない状態だったようです。病院からは手術も示唆されていたようですが、他に保存的治療を探されていたようでした。そのような状態の中でご友人の紹介で当院にご来院されました。

頚椎症の鍼灸治療

患者さんは幸い直腸膀胱障害(頻尿、尿閉など排泄機能障害)が起きていなかったことと首と片側中心の症状だったため、鍼灸で治る可能性は十分にあると判断して治療をしました。症状が神経根圧迫症状と思われました。そして親指と人差し指に強く痺れや痛みの症状が出ていたことから圧迫されている神経の場所は頚椎の5番と6番の間から出てくる神経だと想定ができました。

ちなみに整形外科では骨棘(骨の変形)が神経を圧迫していると画像を見ながら説明されたようなのです。しかし痛みや痺れを起こしている原因はそれだけではなくけ頚椎に付着している首の細い筋肉の緊張であることがほとんどです。実際に首の筋緊張を針によって取ることで痛みは劇的に改善していきます。少なくとも2回以内には効果がみられることがほとんどです。これはマッサージなどの治療では難しいです。針はマッサージでは届かないところまでアプローチすることができるからです。

この患者さんも初診を終えた段階では10だった痛みが8になった程度でしたが、その日の夜には徐々に改善して深く眠れたようです。そして翌日の朝には劇的に改善して痛みは5程度にまで減っていたようです。2回目、3回目の鍼灸治療でほとんど痛みは無くなったものの、仕事で疲れた時などに首、鎖骨周り、腕の付け根、二の腕などに痛みが出ていました。

また患者さんには当院での治療を数回受けていただいた後に、自宅でバスタオルを使った極めてソフトな首の矯正をしていただきました。首は外部からの刺激に敏感なので、数回治療して頸部の筋緊張が軽減してきてから実施していただきました。緊張がある状態で行っても効果はさほど高くないと考えています。

現在は月に1回程度のメンテナンスを兼ねた治療をしています。あんな激痛は初めてだったと患者さんは思い返しておられましたが、薬や牽引、コルセットで取れなかった痛みが良くなって本当に喜んでおられました。

ちなみに私が今まで見てきた患者さんに関しては少なくともコルセットや牽引は効いていませんでしたし、海外では効果が疑問視されています。

一般的な頚椎症のお話

頚椎症の原因

首は7つのドーナッツのような形の骨(頚椎)が連なって構成されています。そしてその骨と骨の間には椎間板という柔らかい組織が挟まれる形で存在しています。その椎間板は年齢とともに老化していき潰れてしまうことで袋から破れて外に出てきてしまいます。その出てきたものが脊髄や神経根を圧迫することで症状が現れます。

頚椎症の症状

・神経根圧迫症状(頚椎症性神経根症)

主に首、片側の肩、腕、手のひらに痛み痺れ、運動障害(力が入りにくい、脱力)などの症状が出てきます。首は後ろに倒した際に痛みが増強することが多いです。また手の痛みや痺れはどの指に症状が出ているかによって、首のどの部分に問題があるのか想定をすることができます。

・脊髄圧迫症状

脊髄が圧迫されている場合には上記の神経根症状に加えて、歩行障害(歩行がぎこちない)、細かい手の作業(ボタンを留めるなど)、直腸膀胱障害(排泄機能の障害)などが起こります。また肩や手の症状は神経根圧迫症状のように片側出なく、両側に出ることが多いです。

頚椎症の治療

・装具療法

頚椎コルセットやカラーなどを装着して頚椎の動きを抑えることで、神経の圧迫を防止して警部を安静に保つことができます。ただコルセットをすることで頸部の筋肉が硬くなるリスクもあわせ持ちます。

・薬物療法

まず炎症を起こした痛みに対してはロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が処方されます。また焼けるような「神経障害性疼痛」に対してはリリカ(プレガバリン)などの薬が一般的。ただこの薬は痛みの神経伝達をシャットアウトするものなので根本的な解決をしているわけではないことと、副作用として腎不全、心不全、肺水腫なども報告されているので長期服用はリスクも伴うのです。

またこの疾患は筋肉の過緊張も伴って痛みを増強させるのでエチゾラムなどの「筋緊張弛緩剤」なども用いられます。また神経再生薬としてビタミンB12やメチコバールなどが処方されることも多いと思います。

・牽引療法

ベルトを顎のあたりにかけて専用の器具で頭を丈夫に引っ張ります。引っ張ることで椎骨間の圧を低下させ神経圧迫の症状を軽減させようとするものです。

ただ、この療法は悪化するリスクがありますし、効果としても疑問視されていたりもします。古い整形外科では今だにこの方法を取るところがあります。

当院でも鍼灸治療で筋肉の緊張を除去した後にソフトな牽引をしながら頚椎の矯正をすることがあります。あくまでも筋肉の緊張が取れた後でないと牽引した際に緊張した筋肉が炎症を起こして痛みが増強することがあるので注意が必要です。

・温熱療法

ホットパックと言われる電気的に熱を作るパットを患部に当てることで筋肉の緊張を和らげます。ただこれは水枕のような湯たんぽ(fashyなど)を使ってご自身でもできますので、セルフケアとして試してみても良いかもしれません。

・理学療法(リハビリ)

運動やマッサージになりますが、基本的に運動療法は痛みが軽減した後でないとできません。マッサージも鍼灸治療で病的な緊張が取れてから出ないと揉み返しなどを起こすことが多いです。鍼灸の筋肉をほぐす作用は特殊なので揉み返しなどは当然ありません。※関連記事:なぜ針でコリがほぐれるのか?

・神経ブロック

ペインクリニックなどで取られる治療法ですが、麻酔薬を圧迫が起きている神経根に注射するものです。ブロック注射と呼ばれ、頸椎傍神経根ブロックなどが用いられます。基本的には麻痺させるだけなので麻酔がなくなれば痛みは元に戻る場合がほとんどです。

・手術

脊髄圧迫症状で排泄機能に障害が出ている場合などには手術も検討されます。飛び出ている骨棘や椎間板を除去するものです。ただ実際には除去しても症状が軽減されない場合も多く、これも疑問視されているようです。

頚椎症のストレッチ

基本的に頚椎症はストレッチをしても改善しません。悪化する可能性すらあります。そもそも首のストレッチというのは健康な方でもかなり慎重に行うべきものです。

頚椎症の枕

頚椎症の神経根症状が出ている時には頭が軽度に前に倒れるような痛みの出ない高さをバスタオルなどで調整してください。治るまでは神経が過敏になっているいるので低い枕を使うとビンビン痛みが出る可能性があります。ただ神経根症状がなくなってからは「首の痛みと手のしびれ」の記事でも書きましたが、バスタオルを三回半分に折ったぐらいの低い枕を使ってください。

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こちらに掲載された事例、体験談は患者様個人の治療成果や感想であって、万人への治療効果を保証するものでないことをご理解ください。治療による効果には個人差があります。